2018年5月3日木曜日

安田泰三 ガラスの世界

 
 
 
友人に誘われて、
『安田泰三展』~レースガラスの魔術師~という展覧会に行った。
 
安田泰三というガラス作家も初めて知ったし、
みなとみらいのはずれにある『みらい美術館』という会場も初めて知った。
 
横浜のそごうデパートの先から表に出て、国道1号線沿いを5分ほど歩き、
ちょっと左に曲がったところにその美術館の入っているビルがあった。
 
ビルの1階にウェディングドレスのレンタルショップと保育園が入っており、
2階に歯医者さんとそのみらい美術館があるという、
不思議な雑居状態の真新しいビルだ。
 
ガラス作品ばかりを扱うギャラリーらしく、
中は照明を落として薄暗く、
レースガラスの魔術師というだけあって、
ガラスのレースを多用した幻想的な作品が暗闇に浮かび上がっている。
 
友人は普段、青山でガレやドームなど、ガラス製品を扱うお店で働いている。
その関係で展覧会の招待券を手に入れ、
私に声をかけてくれたのだ。
 
以前、スポーツクラブに通っていたとき、同じクラスを取って、
隣同志で汗を流していた仲なのだが、
1年前に私がスポーツクラブを辞めてしまったので、
彼女と会うのは昨年の6月、私のグループ展に来てくれて以来ということになる。
 
美術系の人間だから、きっとガラスの作品にも興味があるだろうと
察してのことだと思うが、
だいぶご無沙汰になっているのに、声をかけてくれるのは嬉しいことだ。
 
薄暗がりの会場の中を、他に誰も人がいないのをいいことに、
「たぶん、これは最初にレースの棒を並べておいて、
それを透明な筒状のガラスに巻き付け、膨らまして・・・」みたいに
知っているガラス制作の知識を駆使して説明しながら鑑賞した。
 
もし、私が男性で、もっと身体が大きくて、力もあったら、
ガラス工芸作家になるのもいいなと思っていたというような話をし、
目の前の美しい作品は、
熱さと重さに耐え、瞬間の判断力が必要なのよと解説した。
 
家に帰ってからパンフレットをよく読むと、
どんなに大きな花器も複雑な作品も、安田泰三ひとりで制作しているとある。
 
ガラスの作品は
工房で何人かの助手を使って制作するものとばかり思っていたので、
いささか驚き、
他者を排除する作者のこだわりを強く感じた。
 
見知らぬ作家のガラスに賭けた情熱を受け取りながら、
でも、こんなに大きな花器を誰がどこに置いとくんだろうなどと、
現実との狭間でいろいろ苦悩もあるに違いないと想像した。
 
ゆっくりじっくり作品を観た後は、駅に戻って、
友人とランチをしながらおしゃべりした。
 
最近、こういう『おしゃべり』という時間がめっきり減った。
 
数年前までは、ママ友ランチや、
海外転勤していた時の友人とのおしゃべりの機会が多くあったが、
何だか環境が変わって縁遠くなってしまった。
 
人は今ある環境で触れ合う人としか繋がれないのか。
それも表面的なつながりだとしたら・・・。
 
久しぶりのおしゃべりが楽しいと思えた分、
いつの間にかそうした人間関係が希薄になっていることに気づいたのである。
 
友人は渡した自作のショコラ・オランジェを凄く喜んでくれ、
「大事にひとりでこっそり味わうわ」と言って、帰っていった。
 
季節はずれの『友チョコ』は
「これからもたまに会って、おしゃべりしましょうね」という
私からのメッセージだ。
 
 

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