2018年12月29日土曜日

甘いものから攻略

 
 
 
 
 
12月29日、あと3日で新年を迎える。
今日から、本格的におせち料理作りに取りかかることにした。
 
まずは、時間と手間がかかるものから。
 
最初に手がけたのは『もちつき』
 
もちつきといっても、杵と臼を持ち出すわけじゃない。
夕べから浸してあったモチ米を餅つき機で蒸してついて、
取り出して手でまるめ、丸餅にする。
 
私は東京育ち、横浜在住だけど、
関西風に丸餅にしておいた方が、切る手間や保存など、
何かと角餅より便利なので、20年ぐらい前から丸めている。
 
以前は2回ついて、2升分お餅を作っていた時代もあるけど、
最近は1回だけ、8合分のモチ米をついて作っている。
 
次に手がけたのは『黒豆』
丹波の黒豆の新豆を購入し、しわひとつなく炊きあげる、
それが私のお正月準備のメインイベントだ。
 
こちらも長年の経験で、砂糖の加減をして作った調味液に
夕べの段階で漬け込み、
朝から火にかけ、4~5時間かけてふっくらピカピカに炊きあげる。
 
次に、毎年作るわけではないが、
今年は『栗きんとん』を作った。
 
実は栗きんとん、家族には大して人気がない。
しかし、長女の婿は栗きんとんが好物だと聞き、
ならば今年はと作ることにした。
 
我が家の栗きんとんは、栗の甘露煮を買ってきて、
衣は自分で作って、中に栗をしのばせ茶巾絞りにする。
 
衣には甘みの強いなると金時芋を使用し、クチナシの実で黄色く着色、
2度裏ごしをして、甘露煮の蜜と砂糖とで炊きあげる。
最後にハチミツをいれて照りを出すのが私流。
 
それをラップの真ん中に置いて、中央に栗を入れて包み込む。
当日の朝、和菓子のような茶巾絞りの栗きんとんは菓子器に入れて、
てっぺんに金粉を飾るつもりだ。
 
そして、本日の甘いものの最後は『ぜんざい』
 
十勝産の小豆を3時間ほど水に浸し、火にかける。
豆が柔らかく煮えてから、砂糖と少量の塩を加え、更に煮る。
 
今日1日だけでも1㎏の砂糖の袋を傾けて、
ザクザクと使ってしまったので、
何だか胸騒ぎがして、手加減するものの、
やっぱりそれなりに砂糖をいれないとぜんざいにはならない。
 
作ってみるとよく分かるが、おせち料理には大量の砂糖が使われている。
 
昔は日持ちを良くするためと、砂糖が贅沢品だったから、
お正月ぐらいは大量にとたくさん使われたらしいが、
実際に目の当たりにすると、ちょっと腰が引ける。
 
1月14日に人間ドックが予定されているのだが、
早くも暗雲が立ちこめてくる感じ・・・。
また今年も「肥満は・・・」と始まるコメントが書かれるのかもしれない。
何とか、医者からイエローカードをもらわないようにしたいものだが、
どうなりますやら。
 
ならば、作らなきゃいいし、食べなきゃいいんだけど、
そうもいかないのがお正月ということで、
せめて多少は甘み抑え目で作る年の瀬であった。
 

2018年12月25日火曜日

じじとばばのクリスマス

 
 
 
 
 
娘達が家にいた頃は、クリスマスの近くにはツリーを飾り、
イブの夜はクリスマスディナーと称した夕飯を作って、
みんなでテーブルを囲んだものだ。
 
しかし、ダンナとふたりの生活になってからは、
ツリーも飾らないし、
プレゼントなんてものもない。
 
気分的には年の瀬の大掃除やお正月の準備の方にいってしまって、
クリスマスイブやクリスマスは、
クリスマスソング特集なんかを聴きながら、
窓ふきやら、レンジ磨きをしていることが多い。
 
今日も庭の雑草取りや、玄関アプローチのタイル磨きなどをし、
車を出して新しい玄関マットや正月用アイテムの買い出しに行った。
 
しかし、クリスマスを全くスルーなのも淋しいので、
ご飯だけはクリスマスらしいメニューで作ることにし、
昨日・今日と赤ワインの似合うクリスマス・ディナーを作った。
 
夕べは、メインにロールキャベツ、
前菜にキャロット・ラペ、
サブに芽キャベツのバターモンテと
新じゃがのフライドポテトのスパイシーソルトを作った。
 
赤ワインには1本残っていたボジョレーヌーボーを抜いたのだが、
ヌーボーのあっさりした赤の味とロールキャベツとの相性は抜群だった。
 
今日は、骨付きの鶏ももを生協でとってあったので、
塩コショーとタイムをすり込み、
皮と身の間にバターをもぐり込ませ、オーブンで焼いた。
 
途中で、皮に醤油と砂糖、ハチミツを混ぜたソースを刷毛で塗り、
再び、オーブンで皮をパリッとさせるまで焼いたのだが、
これが絶品だった。
 
我ながら、そこらの既製品の鶏もものローストには絶対負けないと思う出来具合。
 
同じお皿に添えてあるのは、
トマトのチーズのせオーブン焼きと、キノコとモロッコインゲンのガーリック炒め。
 
他にはコーンクリームスープと、彩りサラダ。
サラダには紫色のカリフラワーやら鎌倉野菜の赤い大根などが入り、
ミニトマトの赤、マッシュルームの白、グリーンカールの緑に、
正に彩りを添えている。
 
しかも、レモンとオリーブオイルで作ったドレッシングをかけると、
化学反応を起こして、紫色のカリフラワーがみるみる赤紫に染まり、
ドレッシングの色も真っ赤に変化して、ドラマチックだ。
 
じじとばばがテレビをBGMにご飯を食べていても、
何もドラマチックじゃないんだけど、
夕べは「天皇陛下のご成婚の裏事情」
今夜は「天空のスペクタクル ~オーロラ~」を観ながら、
静かなクリスマスを過ごすのも悪くないかもと思えた。
 
今宵は昨日よりはヘビーな赤ワインを抜栓し、
飲むほどに私自体が赤く変化し、
「何も大掃除を手伝わないダンナへの怒り」が化学変化して、
あきらめの境地になるのも毎年のことだ。
 
こうして、毎日少しずつ家の中のことが片付き、
徐々に正月準備に取りかかり、
今年も大寒波に首をすくめながらも、無事に1年が終わろうとしている。
 
先週のお茶の先生のところの掛け軸は、
「先ず、今年も無事、目出度く千秋楽」
と、あった。
 
お弟子さん達が皆、無事に過ごせていると確認して、
そのお軸をかけてくださっているのだ。
 
私もつつがなく1年が無事に過ぎていくことに感謝し、
来たる新年に向け、
ゆるりと始動しようと思う。

2018年12月21日金曜日

障子の張り替え

 
 
 
 
 
暖かな冬晴れの1日。
今日から、暮れの大掃除開始。
 
初日のミッションは、
お風呂のカビ取りと風呂釜内部の掃除、
ラグ類の大量洗濯、
そして、障子の張り替えだ。
 
朝8時半、まだ、南西に位置する和室=画室には日は射していない。
 
今日やるつもりの作業には、何かをしておいて待つということが多い。
 
つまり、風呂場にカビキラーを吹き付けておいて、薬剤が効くのを待つ。
浴槽に水を溜めて、ジャバをまいて追い炊きをし、待つ。
古い障子紙を剥がすために水を打って、ふやけるのを待つ。
と、いった具合。
 
だから、事をスムーズに運ぶために、段取りが重要だ。
 
最初に、ラグの洗濯第1弾を回し、
隣の風呂場にカビキラーを塗布した。
 
次に水刷毛とバケツに水を用意して、
外した障子を畳に寝かせ、さんの上から刷毛で水を打った。
 
ここ3ヶ月「何でも裏打ち」という講座をとっていたので、
刷毛の扱いは手慣れたものだ。
刷毛も、講座で強制的に買わされたものが、ここで役立った。
 
和室で古い障子紙が剥がれやすくなるのを待って、
風呂場のカビキラーを流す。
同時に浴槽の栓を抜いて、水を張り、ジャバを散布し、追い炊きをする。
 
いつの間にかたまったシャンプーや洗顔剤など、
目下、使っていない容器を整理し、捨てる。
 
風呂場はちょうど2年前の今頃、リフォームしたので、
さほど汚れていないが、それでも、パッキンに少し黒カビが生えている。
床のピンクぬめりや
椅子や排水口のこびりついた汚れが落ちると気分がいい。
 
カランの水垢をスポンジでこするとピカピカになり、テンションが上がる。
 
第1弾のラグが洗い終わると、第2弾、第3弾と洗濯機を回し、
天気のいい今日中にラグを攻略する作戦だ。
 
ラグを敷いてあると、見えなかったラグの下の床が、
細かいゴミでジャリジャリなことに気づく。
掃除嫌いが露呈。
ラグを干している間に掃除機もかけなければ・・・。
 
しかし、何と言っても今日のメーンイベントは障子の張り替えだ。
 
風呂場でカビと闘っている間にうまく古い障子紙が浮き上がり、
スルスルと難なく剥がれた。
一応、古い糊分を雑巾で拭き取り、
障子のさんにたまったホコリもふいて、準備完了。
 
今回は生協のカタログから「楮・雲龍」という障子紙を選んで注文しておいた。
雲龍とは紙の繊維が一緒に梳き混んである障子紙のことで、
楮は和紙の最高級素材である。
 
今までも「雲龍」という模様のものを使用していたので、
大体想像はついていたのだが、
広げてみるとその繊維のウニャウニャの量が凄く多くてビックリ。
 
まるでフカヒレスープを頼んだら、一面にフカヒレが泳いでいるみたいに、
ウニャウニャが和紙から盛り上がっている。
立派な障子紙だ。
 
我が家の和室はたたきの障子2枚と、すぐ隣に小窓の障子2枚がある。
たたきの障子はこの「楮・雲龍」にしてみたが、
小窓の方はそこまで奢ることが出来ず、
そこら辺のスーパーで買った「雲龍」なので、ウニャウニャも控えめだ。
 
最初に小窓の方から張り替え、
手慣らしをしてから、大きな障子に。
 
張る段でも、「何でも裏打ち」で覚えたカッターさばきや
しょうふのりの加減が役立ち、
今年の障子貼りは今までで一番上手に出来たのではないだろうか。
 
昨今、障子どころか和室のないおうちも増えていると思うが、
やはり、障子越しに冬の柔らかな日が射している様は、
何ともほっこりする。
 
冬は早々と西に日が傾き、
オレンジ色の光が差し込んで美しい。
 
大掃除第一弾を無事クリアし、
畳に座布団を敷き、
お茶におせんべいにみかんをいただく。
 
これぞ日本の冬。
今年もあと11日で終わる年の瀬の3時のおやつであった。
 

2018年12月20日木曜日

毎日が「今年最後の・・・」

 
 
 
 
 
 
12月に入ると、毎日のように
「これで今年最後の・・・」というフレーズで表現する出来事が続く。
 
今日は「今年最後の絵画教室とメンバーとの忘年会」だった。
 
昨日は「今年最後の『何でも裏打ち教室』」だったし、
一昨日は「今年最後のシポリンワーク」だった。
 
また、先週は土曜日が「今年最後の陶芸教室」だったし、
その前は「今年最後の歌舞伎座公演」だった。
 
そうして、今週の土曜日に「今年最後のお茶のお稽古と忘年会」を済ませると、
後は本当に大掃除とかお正月準備のような家の中のことばかりになる。
 
先週は大量の年賀状も制作していて、
すべて木版画で摺り、
宛名書きや添え文も手書きと決めているので、
この大仕事が終わると、心の底から年の終わりを実感する。
 
昨今は手書きどころか年賀状そのものもなくなりつつあると聞いているし、
私も年に1度も合わない人や、
顔も忘れちゃったような昔の知り合いに、
一体いつまで出し続けるんだろうと思うのだが、
これが、なかなか断ち切れない。
 
手作り版画も辞めて印刷にしてもよさそうだが、
そこも木版画家だしという意地のようなものが邪魔している。
 
宛名書きもみんなとっくに宛名書きソフトに入力しているけど、
表が手作りなのに、裏が印刷じゃあという、そこにも意地がある。
 
毎年毎年、同じことに逡巡し、文句をたれて、
ブツブツ言いながら手作りする、
これが「今年最後の版画作り」ということになる。
 
それにしても今年は喪中はがきが15枚もきて、ビックリした。
皆さん、親御さんを80代か90代で亡くされた方ばかり。
友人本人という喪中はがきがなかったのがせめてもと言えるだろう。
 
で、本日は「今年最後の絵画教室」でカレンダーを組み立て、
それを大きな袋に入れて、
いつものように生麦のキリンビバレッジのレストランへと向かった。
 
夏の暑気払いの会もここなので、年に2度はきていることになるが、
今回はメニューが一新されていた。
定番の「ソーセージ盛り合わせ」でさえ、以前とは違う種類が加わっていて、
しかも相変わらずの美味しさなのは嬉しかった。
 
結局、新しいメニューの中からは「和風アヒージョ」と
「イカフライ入り彩りサラダ」を注文したので、
私達が今までにトライしたメニューのラインナップも相当な数になった。
 
そして、もちろん出来たての「一番搾り」はいつ飲んでも絶品で、
「今年最後のビール」はこれで決まりということになるだろう。
 
こうして1年があっという間に過ぎゆき、
また、新しい年が幕を開ける。
 
どんな年が始まるのか、
特別な予定のない2019年ではあるが、
健康に穏やかに過ごせればと思う。
 
イノシシ年とはいえ、
猪突猛進ではなく、
版画制作・心理カウンセリング・お茶・陶芸・孫の料理当番、
いずれも楽しんでバランスよく手がけられればと願っている。
 
まずは年内、
苦手なすす払いと風呂磨きとキッチンのベタベタ撃退が待っている。
あ~ぁ。

2018年12月14日金曜日

玉三郞丈 『阿古屋』

 
 
 
 
 
 
遂にこの目で、生の玉三郞様の『阿古屋』を観ることが出来た。
 
歌舞伎座を解体する前のさよなら公演でかかった時、
あまりにチケット入手が難しく断念した演目だった。
 
それを当時の映像と共に、玉三郞さまの解説で、
数年前「にっぽんの芸能」で取りあげられて以来、
次にかかる時があるなら、是が非でも観に行かなければと思っていた。
 
何がそんなに・・・と言えば、
この演目では、阿古屋が舞台で実際に、お琴・三味線・胡弓を奏でるのだが、
単に上手に演奏するのではなく、
平常心で奏でることで阿古屋の心情を表現するという
難しい役どころだからだ。
 
現在、この阿古屋を演じられるのは玉三郎さまだけだし、
昭和の時代では歌右衛門さまだけしか出来なかったといわれる難役だ。
 
それを今回、Aプロでは玉三郞丈が、
Bプロでは若い児太郎と梅枝がかかんに挑戦している。
 
10月の揚巻を七之助が演じたように、
玉三郎さまが、白羽の矢をたてた若手に芸の伝承をしようといている。
 
私にとっては、まだ観ぬ玉三郞さまの阿古屋を見ずして、
若手の仕上がりを観てる場合ではなく、
とにかく、生で玉さま扮する阿古屋の演奏を観なければと言うわけだ。
 
この演目は元はといえば、人形浄瑠璃。
その名残で岩永という赤っ面の役は人形振りで演じられる。
 
物語は遊君阿古屋がなじみの客・景清の居場所を詮議され、
「知らない」と拒否したため、拷問と称して、楽器を弾くよう命じられる。
 
幕府の代官の前で、
お琴・三味線・胡弓を平常心で弾くことで疑いが晴れるという、
不思議な詮議なのだが、
歌舞伎の筋立てそのものより、
役者がいかに三つもの楽器をまねごとではなく実際に弾きこなせるか、
そこに醍醐味がある。
 
それを玉三郞丈は、幼い頃よりの鍛錬の賜で見事に弾き、
しかも遊君としての威厳にも満ち、
景清を思う切ない気持ちも伝わって来る。
 
衣装も自前の豪華衣装で、正に美術館もの。
立体的にクジャクの羽根が刺繍されただらりの帯、
蝶と紅白の牡丹がレリーフ状に刺繍された打ち掛け。
 
総重量30㎏ちかくある衣装とかつらをつけて、
楽器を演奏し、謳い、心情を表現する。
 
まさに圧巻の玉三郞の『阿古屋』と、昨日の新聞の劇評にも報じられた。
 
夕べは遂にそれを目の当たりにしたことで、
興奮冷めやらず。
 
そうしたら、同じ日に中学高校の同級生も観ていたらしく、
facebookにアップしていた。
 
その友人も歌舞伎通で、毎月のように歌舞伎を観にいっていることは
知ってたのだが、
どんぴしゃ同じ日に同じ演目を観ていたことは今までになかったので、
驚き、そして、芸の凄さを共感出来、嬉しかった。
 
こういうことが同じ時代を生きるということなんだと思った。
 
高校の頃から、玉三郞さまのデビュー以来、追いかけてきて、
遂には人間国宝になり、
これからまた、芸を若手に伝承しつつ、
自分自身でも円熟の境地を見せてくれるだろう。
 
いつまで追いかけていけるか分からないが、
同じ時代に生きる歓びを噛みしめ、
玉三郞丈を見続けていこうと思った、そんな一夜である。
 

2018年12月12日水曜日

寒い日のメニュー

 
 
 
 
 
 
 
寒い。
しかも、急に寒い、寒すぎる。
 
先週までとの気温差についていけない。
その上、やたらに忙しい。
 
台湾から帰ってから、ブログにアップするような出来事がなかったわけでもないが、
ゆっくり、パソコンの前に座ることが出来なかった。
 
毎年の事ながら、
これが師走である。
 
今年は何がそんなに忙しさを増したのか考えてみると、
週に1回、
娘の家に行って、料理を作る日が出来たこと、
これが案外忙しさの一因のような気がする。
 
4月半ばからこの『おーママの料理当番』が始まったのだが、
最初は2~3品作るはずが、
頼まれていないのに今では半日がかりで8~9品。
 
時には自宅で作って、ひじきの煮物や焼き豚などを持っていっているし、
買い出しも物価が安い横浜で全品揃え、
5~6㎏の食材袋を引きずって、通っている。
 
まあ、好きでやっているので、
「毎回、重いアピールされても困るわ」と娘に嫌味を言われているが、
当分、この方式でやっていくつもり。
 
さて、急に寒くなってきたので、
やはり、温かいものが食べたいし、食べさせたい。
 
娘からのリクエストにはシチューとあったので、
今回のメインは「ビーフシチュー」に決めた。
 
また、孫娘は炭水化物が好きなので、グラタンでもいいかもと言ってきたので、
それもかなえてあげることにした。
 
ビーフシチューは我が家の味があるので、
もちろん市販のルーなど使わないし、
グラタンのベシャメルソースも手作りする。
 
これで洋物部門の温かい料理はオーケーだ。
 
次は和物部門の温かいものだが、
この時期、味の染みた大根など一番のご馳走だ。
そこで、『ぶり大根』を作ることにした。
 
これで牛肉・鶏肉・ぶりとタンパク質も十分取れるので、
もう一品の和物の温かい料理は『絹揚げと小松菜の煮浸し』にした。
 
小松菜はほうれん草より栄養価に優れ、しかも安価なので、
冬の最強野菜だとこの間、情報番組でやっていたので、
積極的に摂取することにする。
 
他には『コ―ルスロー』『さつまいもご飯』『玉ねぎと半熟卵入りお味噌汁』
『豚しゃぶサラダ』『山芋とわかめの和風サラダ』の全9品。
 
今回もテーブルいっぱいに並べて、
「どんなもんだい」と娘と孫娘を迎え撃った。
 
が、しかし、孫娘の気まぐれは手強く、
さつまいもご飯と染み染み大根は快調に食べてくれたが、
あとはイヤイヤ期に突入。
 
結局、根負けした母親が
「おーママには内緒よ」と目の前で既製品の野菜パンと魚肉ソーセージを与え、
「何のために半日かけて手作りしてると思ってんの」と
逆鱗に触れるといういつものパターン。
 
お陰で孫娘は
完全にパンパンに固太りのチビタンク。
 
さてさて、どうなりますやら。
 
子育てに荷担して9ヶ月。
無事、2018年も終わろうとしている。
 
この調子では来年も忙しそうだが、
間近で子育ての片棒をかつぎながら、成長を見守る楽しさを味わおうと思う。
 
それには一にも二にも体力が必要。
風邪などひかないようにしなければ。
 
皆様もご自愛なさってくださいませ。
 
 

2018年11月30日金曜日

上海の光と影

 
 
 

 
 
 
27日から29日まで、古い友人と上海に行って来た。
 
その友人とは35年も前、初めての赴任地香港で一緒になり、
家族ぐるみのおつきあいで今日まで仲良くしてきた。
 
お互い結婚してすぐの転勤で、外地での出産・子育てを同時期にしてきたので
気分は戦友みたいなものだ。
 
これまでもホームパーティや旅行など、
数々の思い出を作ってきたが、
海外旅行にふたりで出掛けるという意味では、
今回が初めてのことになる。
 
旅の目的は、上海のリッツカールトンに2連泊するということと、
香港でも季節になると食していた上海蟹をいただくこと。
 
上海は私は2度目(1度目は次女と行った)、彼女は初めてだったが、
中国の観光地には二人とも全く興味が無く、
とにかく今回はリッツと蟹、
そのふたつが味わえればいいという不埒な観光客である。
(直前に中国の五つ星ホテルの掃除が不衛生だとニュースになったが・・・)
 
しかし、13、14年ぶりに訪れた上海は恐ろしく発展を遂げており、
地震がないせいか変わったデザインの高層ビルがニョキニョキと林立し、
どのビルもライトアップがまばゆいばかり。
 
世界2位という高さを誇るビルの最上階の展望台から眺める景色は、
その中国の力を誇示するかのような光の洪水だった。
 
が、反面、上海の上空は朝からスモッグに覆われ、
晴れているのに青空は見えず、
北京と同じく汚染されていたのにはビックリした。
 
実際、2日目、私達のバスは郊外に行くため高速に乗った途端、
スモッグで視界がとれないため、高速道路が閉鎖になり、
1時間半も渋滞したまま立ち往生するというめにあった。
 
この大気汚染を何とかするため、
自動車のナンバープレートには法外な値段が課せられ、
本体が200万円の車でも、ナンバープレートの取得にもう180万円かかるとか。
 
そうまでしてでも、上海に乗り入れる車を制限しようと
政府は考えているにも関わらず、
車はどの道にもひしめき合い、渋滞は日常茶飯。
 
しかも、500万円以上はするであろうBMWやアウディ、ベンツなどの高級車が、
きれいに洗車され、無秩序な無謀運転で走っている様は、
今の中国の勢いと中国人の気質そのままな気がした。
 
中国の光と影、
成功者が巨万の富を手にしている一方で、
その国土の広さと人口の多さの中で、常に競争が繰り広げられ、
貧富の差が歴然だ。
 
私達はその富の象徴である五つ星ホテルに泊まり、
香港でも有名だった上海蟹の名店で食事をし、
119階のビルの展望台から夜空に繰り広げられた光のショーを楽しんだことになる。
 
しかも、日中友好とばかりに、
友人は古い満鉄時代のイギリス製置き時計と淡水パールのイヤリング、
パール粉入り美白クリーム、
ラテックスの高反発ベッドマットにシルクのテーブルライナーを購入。
 
私も大粒真珠が連なるネックレスと漢方茶、中国食材、
同じくシルクのテーブルライナーと美白クリームを購入したので、
それぞれちょっとここでは言えないほどの大散財。
 
完全に富裕層の過ごす3日間だったに違いない。
 
もちろん楽しかったし、リフレッシュしたのだが、
一方で、中国の病んでいる部分や中国人の底知れぬパワーも感じて、
ちょっと恐ろしいとも思った。
 
同じアジア人として、
似たような顔つきなのに、全然違う倫理観や野心を持っているんだと知って、
隣国なだけに怖いと実感した3日間だった。
 

2018年11月23日金曜日

またまた本摺り 

 
 
 
 
昨日・今日と二日続きで2点の作品の本摺りを決行した。
 
実は今週は着物ウィークで、1週間のうち3日も着物をきる予定がある。
火曜日は鎌倉八幡様でお茶会。
水曜日はお茶のお稽古。
明日の土曜日は来週のお茶のお稽古の振替。
 
何も必ず着物でいかなければならないのは、八幡様のお茶会ぐらいのもので、
お稽古は洋服でも一向に構わない、はず。
 
しかし、水曜日は『壺飾り』という飾り物のお稽古の亭主を仰せつかっており、
やはり、それなら着物で伺った方がいいだろう。
 
が、水曜日はカルチャースクールの『何でも裏打ち』の日でもあったので、
朝から着物を着込んで、お茶の道具と裏打ちの道具という大荷物を持ち、
カルチャーでは割烹着を着て、糊で袖を汚さないように
気を遣わなければならなかった。
 
前の日のお茶会は、8時半に鎌倉集合だったわけで、
5時半起きだった。
 
そんなこんなで、着物を着て出るという作業は連日になると、
本当に疲れる。
 
しかも、来週は友人と上海に遊びに行く予定が入っているので、
それまでにこの2作品の本摺りを仕上げること、
これが最大のミッションだった。
 
別に展覧会の期日が迫っているわけでも、
誰かがお買い上げくださったというわけでもないが、
「11月末には本摺りまでいくこと」という我が身に課したミッションなのである。
 
前振りが長くなったが、
そんなわけで、昨日の朝、起きて直ぐに絵の具を作り、紙を湿し、
1作目の本摺り準備に入った。
 
しかし、和紙は水を打って、湿しが均一に行き渡るのに、
最低でも4~5時間はかかる。
 
それを見越して、
今話題の『ボヘミアン・ラプソディ』を川崎のチネチッタまで観に出掛けた。
 
高校時代の友人が『LIVE ZAUND』という音響にこだわった環境で観て、
凄く良かったとFace bookにあげていたので、
私の聴いてみたいと思ったのである。
 
確かにそれでなくても迫力のあるフレディ・マーキュリーの歌声が、
ズンズン響いて、映画の内容と相まって、
十分なパワーチャージが出来た。
 
その勢いのまま、午後の2時半ぐらいから1点目の本摺りスタート。
夜11時までかかって、9枚を仕上げた。
 
そして、這ってでも紙だけは湿さねばと、
今日の2点目の作品の和紙を湿してから、ようやく就寝。
(2点目はさすがにウロチョロ時間をつぶす余力は無い)
 
で、本日は快晴の休日だというのに、
全く関係無しに、1日中アトリエに籠もって2点目の本摺りを決行。
夕方には8枚の作品が摺り終わった。
 
今は無事、水張りされたベニヤが、リビングといわず、アトリエといわず、
所狭しと立てかけてある。
 
それを眺めているときが、最も充実感と達成感を感じる至福の時なのだが、
残念ながら、夕方5時の鐘と共に(そんなものは鳴らないのだが・・・)
お母さんモードに切り替えて、
台所に立たなければならないのが主婦の辛いところだ。
 
本日の献立は
「ラザニア風ミートソースのグラタン」
「大根とわかめとお豆の和風サラダ」
 
いずれも初挑戦の献立にしては、えらく美味しくでき、
誰も褒めてくれないので、ひとり自画自賛。
「こんなに本摺りで大変な日に、ホント、よく頑張りましたね」と。
 
私も世間で話題のカリスマ主婦志麻さんにきて欲しい~!!
でもって、
誰か、肩もんでくれ~!!
 

2018年11月11日日曜日

久々の本摺り

 
 
 
 
 
昨日今日と2日間かけて、木版画の本摺りを決行。
 
今年は大小あわせて5点分の版木をすべて彫ってから、
やおら試し摺り・本摺りをするというイレギュラーなパターンで制作している。
 
大体7~8月は暑くて摺りには不向きなので、
夏場はクーラーをつけて、ひたすら彫っているというのが、
例年の夏の過ごし方だ。
 
しかし、今年は9月に入っても一向に涼しくならないし、
気分が摺りをしようという感じにならなかった。
 
更に
9月に『文学と版画展』という
本の装丁を自分の作品を使って考える展覧会があり、
会期中から来年はどんな本を選ぼうかという方に
気持ちがいってしまって、
夏場に彫っていた版木を摺るより先に、それに着手したくなってしまったのだ。
 
つまり、次なる一手を思いついてしまうと、
それをとにかく具現化してしまいたくなる習性がある。
 
それが今回、本摺りまで仕上げてしまったこの作品だ。
 
どんな本の装丁になるかはまだ内緒だが、
着物と鈴が出てくる金沢が舞台の古い小説だ。
 
今年の新作5点は市松模様の画面構成で木目が出てくる。
 
画面には前からの流れで時計草も出てくるが、
この作品は鈴から着想を得て、紙風船が登場。
 
着物の帯締めが画面に意味ありげに絡まっている。
 
だいぶ、和のテイストだが、
自分の中でお茶濃度が増しているのと関係あるかもしれないが、
『日本人であること』が相当大きな位置を占めてきていることは間違いない。
 
今日は午後2時台にNHKで「フジ子・ヘミング」の特集番組をやっていた。
20年前に放送されたETV特集をもう一度見ながら、
美輪明宏をゲストに迎え、フジ子・ヘミングの行き方を考えるという内容だった。
 
なぜかとても気になって、
本摺りを一時止めて、見ることにした。
 
番組の中では何度も自宅でピアノを弾くフジ子・ヘミングが映し出され、
今更ながらにその魂のこもった美しい音色、
唯一無二の柔らかなタッチと、清らかなメロディーが心に染みいった。
 
日本人の母とスウェーデン人の父をもつが、父親の記憶はほとんどなく、
実質的にはピアノ教師をしながら
フジ子を育ててくれた母親との母子家庭だった。
 
国籍の問題、聴力を失いかけた問題など、
波瀾万丈な人生の中で、フジ子をずっと支え続けたピアノ。
 
芸大の大先輩として、
今更ながらに親近感と敬愛の情が湧いてきた。
 
版画は私にとって何か。
日本人に生まれた私とは何者か。
 
そんなテーマが、この番組をみて、
更に強く呼び起こされた気がする。
 
今は久しぶりの試し摺り・本摺りへと続いた3日間が無事、終了し、
ちょっとホッと一息というところだ。
 
たぶん、毎日、自分が日本人に生まれたことを意識している人なんて、
そんなに多くないと思うけど、
ここ数年、どうも引っかかっているので、
しばらく自分の気持ちとつきあってみようと思う今日この頃である。