2017年9月26日火曜日

クリエーターズ・ハイ

 
 
 
一昨日の日曜日、心理カウンセリングの予約が急にキャンセルになった。
 
突然ヒマになった日曜日。
本当は所属している版画団体の総会と審査会があったのに、
カウンセリング希望があった時に「上野までは遠いから今年は総会はパス・・・」と、
絵描きであることをちょっと後回しにした。
 
なのに、クライアントにドタキャンされ、空白になってしまった。
絵描きであることをないがしろにした罰が当たったのか・・・。
 
埋め合わせをするかのように、急遽、版画の本摺りの準備をすることにした。
 
本摺り用和紙を裁断し、絵の具の調合をし、
火曜と水曜に行うつもりの本摺りに向け、イメージを高める。
 
そうこうする内に、今、紙を湿せば、湿しが均一になるのを待っても、
夕方には本摺りを始められるのにという気持ちが抑えられなくなってきた。
 
月曜の夕方には展覧会初日を迎える「版17展」のオープニングレセプションがあるが、
それでも、月曜日の午後2時ぐらいまで、制作する時間はある。
 
そう思ったら、いても立っても居られない気分だった。
 
結局、昼前に和紙を湿して、夕方4時から本摺りスタート。
夕ご飯作りと夕食、大河ドラマと3時間ぐらいの休憩を挟んで、
夜11時まで作業。
 
一旦、ベッドに入るも、うまく寝付かれず、夜中の1時半にのこのこ起きだし、
夜中に作業再開。
夜明けの5時、さすがに力尽き、就寝。
朝7時半、起床して、食後に作業再開、午後2時、すべての工程が無事、終了した。
 
こうして書き出してみると、60代の我が身に課した過酷な労働にビックリ。
 
しかし、本摺りをしているさなかは全く疲れも感じずに、集中している。
 
これは世にいう「クライマーズ・ハイ」ならぬ、
「クリエーターズ・ハイ」の状態か。
 
終わるとドッと疲れが押し寄せるが、そこまではのめり込んでいる。
 
グラフィックデザイナーの次女がプレゼンを目前にして、徹夜が続いていると聞けば、
とても心配になって「自分を守れるのは自分だけなんだから、無理はしないで」
などと、苦言を呈するのが常なのだが、
母も同じことをやらかしている気がする。
 
それでも、出来上がった作品を見ると、また新作が摺り上がったと嬉しくなる。
8月下旬に雨が降っている内にと頑張って摺った作品と同系列の作品だ。
 
今回は茶系統の色味をベースに制作し、
何だか和服の晴れ着のような色調になった。
 
グレーベースもいいが、茶系統もなかなかいい。
 
さすがに徹夜明けは眠気との戦いだったが、
まだ、このぐらいは出来るという自信にもなった。
 
版17に出品した作品は、静かにまとまりすぎて、面白くないと思っているので、
間に合えば、この作品を出したかったと思うぐらいだ。
 
すると案の定、信頼する先輩に、版17のレセプションの飲みの席で
「なんであんな作品を創っているんだ」とお叱りを受けた。
 
久しぶりに人から直接、作品批判を浴びて、
そんな平和ボケみたいな作品を出して、平気な顔をしていてはいけないと、
生温い自分のほおを張り飛ばされた気分。
 
お酒の席とはいえ、お酒の席だからこその本音のお叱りだと、
真摯に受け止め、
今一度、絵描きの自分にもっと厳しくしなければと思った。
 
しかし、今の自分に創れる自分らしい作品は何?
 
娘の結婚、孫の誕生など、平和ボケと幸せ太りは免れない今の自分が、
一番自分らしいのは、明るくて未来志向で、人の命って素晴らしいと感じるような、
「幸せでどこが悪い」と開き直るぐらいの作品なのではないか。
 
男性作家が理屈をこね、宇宙だの核兵器廃絶だのと大きいこと言ってる脇で、
手元の小さな出来事を作品に落とし込みたい。
 
そんなわけで、クリエイターズ・ハイの延長で、老画家からアッパーカットをくらい、
一度はリングダウンしたおばさん絵描きだったが、
今はむっくり起き上がり、しぶとく版画は創り続けようと誓い、拳を振り上げた。
 
折しも、2020年4月、銀座養清堂にて、個展決定。
オリンピック・イヤーに向け、女一匹、とにかくやるしかない!

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