2016年5月13日金曜日

我が家の造園プロジェクト ①

 
 
 
我が家には家を取り囲んで小さい庭が三方にある。
家の真裏は単なる路地の透き間で、電気の検針の人がようやく通れるぐらい。
 
正面の玄関アプローチのある1面だけは、私が四季折々に花が咲くよう、
適当に苗を植え替え、水遣りをし、手入れをしている。
 
しかし、家の両サイドの2面は
一方は物干し台が置いてある北側だし、
もう一方は駐車スペースの奥ということで、
愛情のかけらもかけていない、無残な状態の庭だった。
 
植えられている金木犀やつげ、サザンカ、ユキヤナギ、青木など、
10数本の樹木はのび放題に大きくなって、
隣の家との境の石垣とブロック塀を押し倒さんばかり。
震度7クラスの地震がきたら、かなりまずい状態と思われた。
 
私がこの樹木に対して出来る手入れはほとんどなく、
サザンカの花やつげの花が道や隣に落下した時、掃いたり、
ボウボウに生えた地面のドクダミその他の雑草を年に3~4回むしるぐらい。
 
何とかしなくちゃとは思いつつ、本格的にいじるのは高くつくだろうし、
「それって普通、パパの仕事じゃない?お父様もやってたし」と
草むしりひとつ手伝ったことのないダンナを恨めしそうに見ながら、
知らぬ存ぜぬを決め込んで、今日まできた。
 
ところが先日、一時帰国した折に、
お風呂場がすっかりきれいにリフォームされたのに刺激されたか、
ダンナが急に「塀が危ないから、大きくなりすぎた庭の木をきれいさっぱり切ろう」
そう言い出した。
 
言い出したといっても、帰りがけの車の中で私に指示を出しただけで、
その段取りその他、実際に動くのは私である。
まあ、いつものことであるが・・・。
 
しかし、今回は口は出すけど金は出さないというのではなく、
口も出すけど、金も出す気らしい。
 
早速、近所にいる庭師さん(同じ町内の同じブロック)に声をかけた。
歩いて1分のところにいても、15年このかた、お世話になったことがない。
何せ、プロの庭師さんに頼むと高いというのは聞いたことがあるし、
さほどの庭ではないことはよく分かっている。
 
ただ、10数本の樹木の伐採となると素人にはお手上げ状態だ。
シニアボランティアに頼むのも、手に余るだろう。

第一、切るといっても、根元から切るのか、根からほじくり返すのか、
切って残った根はどうなるのかなど、全く知らないのだからお話にならない。
 
幸い、近所のその庭師さんとは
町内会費の集金や地元の消防訓練の時などに少しだけ話したことがあったので、
声をかけるとすぐに見に来てくれ、見積もりを出してくれた。
 
聞けば、彼は植木屋さんではなく、造園業が本業で、
庭木の手入れだけじゃなく、もっと広範囲に受け持ってくれるとのこと。
 
結局、まずは物干し側の大きな物置の撤去に始まり、
樹木の伐採と剪定、下水道の高圧洗浄、塀の中の支柱の入りようのチェック、
土の状態をみてからの造園プランと、
次々、報告と提案がなされて、
気づけば、専任の庭師さんのように、我が家のブランディングを考えてくれていた。
 
専任の庭師さんに見てもらうほどの庭じゃないのは重々承知だが、
庭師さんという職業は人の家の庭を見れば、
いろいろイメージが湧いてくるらしい。
 
家の建物と庭とが調和してこそいい家だと考えているから、
正面の玄関先だけ、ちょっと花でも植えてお茶を濁し、
両脇は雑草がボウボウ、庭木も2階まで届いているのに放りっ放しは、
見ていて、いてもたってもいられないという感じのようだ。
 
家主としては、家の中のふすまを開けたら、
がらくたがドサッと落ちてきたのを見られたようなばつの悪さを禁じえないが、
この際、いろいろ相談にのってもらって、スッキリと美しい庭へと変身させようと、
新たな意欲が湧いてきているところだ。
 
まずは、伐採を終え、スッキリした庭の門門にお清めの塩を盛り、
無駄な殺生ではないということで、お参りをした。
そんな考え方も初めて教えてもらい、
「勉強になります」と殊勝な気持ちになった。
 
また、庭師さんのお父さんの代から手がけているおうちが取り壊しになり、
そこから出たいい御影石が、駐車場側の和室からの踏み石にちょうどいいと、
午後には運んできて据えてくれるらしい。

「いい石に、また、置ける場所が見つかるというのも、ご縁ですから」とか 
「素性のいい御影だから、間違いなしですよ」と言われても、ピンときていないのだが、
とにかく庭師さんの頭の中には、可哀想な我が家の小庭をなんとかしたい、
そんな思いがむくむく湧き出ているに違いない。
 
こうして、思いがけないミッションがスタートした。
初夏の陽気にぴったりのこの計画を、しばし楽しむことにしようと思っている。


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