2015年12月14日月曜日

折れない女 本摺り決行

 
 
 
 
お風呂場のリフォームが思わぬ事態で頓挫し、家が工事現場を化している今、
本当は気分は凹んでいるし、家の中がホコリっぽく雑然として
集中力の必要なことをするのに適しているとは言い難い。
 
友人や娘も、事情を聞いて一様に
「ひどい!」「何それ、風呂場代払ってもらえば?」
そう、驚きと怒りを露わにしてくれている。
 
しかし、私は立てた計画が予定通りに進まないことは許せない性格なので、
ここで、お風呂のリフォーム頓挫事件に巻き込まれて、
自分の他の作業が滞るのは何としても避けたいところだ。
 
年賀状150枚の本摺りと1枚ずつコメントを入れながらの宛名書きは
何とか終わらせ、切手も貼り終え、後は投函するばかり。
 
そして、もうひとつ、新作版画の本摺りを年内に終えたいという計画も
週末に予定通り、決行したいと考えた。
 
折しも大ファンの羽生結弦が世界新を更新し、神がかった演技を見せてくれた。
NHK杯の後に、彼が自分にかけたプレッシャーを思えば、
工事現場と化した我が家で、本摺りをすることなんざ、どうということもない。
 
そう思って、金曜日には予定通り和紙を湿し、絵の具を調合した。
 
その夜遅くには、和紙の湿しもいい具合になったので、作業を開始。
立ち上がりの何色か分を摺ってから、床についた。
 
最近は1日12時間摺りみたいな無茶をするのではなく、
夜更けに少し摺って一度休み、起きてから続きの作業をしたり、
2日に分けて作業したりと、
体や脳みその限界を超えないよう、慎重に丁寧に進める知恵を身につけた。
 
土曜日の日中、8時間ほど作業をしたのに、まだ、最後の1色が残ってしまったが、
無理をして、雑な仕事になるよりは、次の日に回そうと自分に言い聞かせ、
日曜日に最後の背景の黒を摺って、すべての摺り工程を終えた。
 
1日でやり終えるには6枚が限界だったが、
丸2日は摺りにあてられると考え、7枚和紙を湿して、大正解。
 
無事、7枚は何の失敗もなく、摺り終えることが出来た。
 
羽生結弦が満点のジャッジを連発したのと時を同じくして、
自分も納得の摺りができたと自画自賛だ。
 
滑りと摺り、ちょっと音が似ている。
 
彼には陰陽師が舞い降りて、乗り移っているとしか思えないが、
私にも週末、美の女神ミューズが降臨して、応援していてくれたのかもしれない。
 
自分を信じる強い心、
それがどんな時も一番大切と思った週末である。

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