2015年9月10日木曜日

ピアソラに恋して その2

 
 
 
 
火曜日の夜10時頃コンサート会場から帰宅し、12時頃に床につくも
外の雨音が気になって、なかなか寝付けない。
 
「明日あさってと時間はとってあるんだから、今はゆっくり休んで、
2日間で本摺りをすればいい」
そう思ってはいても、聴いてきたばかりのピアソラのイメージが温かい内に、
早く作品に転化したくてウズウズする。
 
結局、12時頃ベッドに入ったにも関わらず、
12時半頃には起きだして、夜中に作業を開始することにした。
 
本摺りに用意した時間はいくらでもあるので、摺り疲れたら寝ればいいし、
日中も雨は降り続けるというか、台風が愛知県あたりに上陸するらしいから、
その土地の方には申し訳ないが
関東地方の私としては、雨による湿度の恩恵の中、
本摺り作業を進められるだろう。
 
深夜に始めた本摺りの作業は明け方4時半頃、いいところまで進んだ。
次は体力勝負のバックのつぶし面だというところで一旦休憩することにし、
寝床にもぐり込み、あっという間に眠りについた。
 
しかし、体のどこかで体内時計のベルが鳴ったらしく、
ゴミの日でもないのに、反射的に7時半には目が覚めてしまった。
 
まだ、ぼんやりしているが、とにかく朝ご飯を作らねばとキッチンに立つあたり、
ダンナの奥さんとしての使命に振り回されていると感じるが、
これも10月20日頃のダンナのバンコク行きをもってして終了すると思えば、
「なんくるないさ~」と思えるから不思議だ。
 
それより、せっかくいつもの時間に目覚めたのだから、
本摺りの続きに速やかに取りかからねば。
 
といって、続きを8時15分、朝の連ドラが終わるやいなや始めた割りには
まだまだ作業は残っていて、
8枚の本摺りが完了したのは夕方5時。
 
計13時間ぐらい摺っていたことになり、
もはやフラフラ。
 
それでも、朝ご飯、昼ご飯、夜ご飯とちゃんと作り、
最後の方は「バンコク、バンコク、じゅげむじゅげむごこうのすりきれ・・・」と
呪文のように唱えている自分がいた。
 
出来上がった作品のタイトルは 『ピアソラに恋して』
 
11月初めのグループ展のテーマとして
「音楽をテーマに創った作品を出品してください」という課題をいただき、
当初、旧作でお茶を濁そうかと思っていたのだが、
時間もあることだし新作を創ることにして、手がけたのがこの作品である。
 
ピアソラは大好きなヴァイオリニスト石田泰尚が好んで取り上げる作曲家で
アルゼンチン人でありながら、
よく知るタンゴとはまた一種異なる独特の世界観を作り上げた作曲家だ。
 
その甘く切なく激しい楽曲を
甘く切なく、そして、激しく演奏する石田様に魅了されているのだが、
もちろん、それは石田様の魅力でもあるが、
ピアソラの楽曲の素晴らしさにまずは起因する。
 
そのピアソラの世界観に敬意を表し、創ったのが今回の作品だ。
 
試摺りを採ってはあったが、
コンサートから帰宅してから、多少変更を加え、絵の具の調整をした。
 
摺りの間は外の雨に湿度の恩恵を受けつつ、
石田様が演奏するピアソラのCDをかけ、音楽に包まれ摺ったのがこの作品。
 
タンゴを踊る躍動感を出そうと原画をデザインし、版を創ったのだが、
その切なくも狂おしい感じを加味したくて、
色彩としては赤VS黒みたいな激しさを抑え、
珊瑚色とグリーンを基調色とした展開になった。
 
この作品にピアソラを感じていただければ幸いである。

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