2015年6月3日水曜日

イタリア紀行6  蒼い手袋

ローマのスペイン広場近くで皮手袋をゲット!
 
ベネチアで求めたモノトーンのストールともグッドバランス
 
思いがけず皮手袋を買うことが出来、喜色満面の私
スペイン広場の階段にて
 
ローマといえばジェラード
気分はオードリー・ヘップバーン?!の友人
 
 
大昔、大学時代に、年の離れた恋人から
留学時代に見聞きした話として、
「イタリアで自分にぴったりの手袋と靴を選んでもらうのは楽しいよ」と
聞いたことがある。
 
その話によるとイタリアでは決して商品を自分で勝手に手にとってはいけなくて、
色や形の好みを伝えると、
店員さんがこれぞというものを店の奥からもってきて見せてくれるという。
 
試してみたいとなると、手袋の場合は座布団みたいな肘置き台に肘をついて
手の先を天井に向け待っていると、
プロの店員さんが瞬時に手の大きさを判断して、
選んだ手袋の中に粉を振り入れ、ぎゅーっと延ばしながら手にはめてくれる。
 
最初はかなりきついと感じるけど、
イタリアは皮のなめし技術がいいから、ほどよく伸びて、
やがて使い込む内に、もう1枚の皮膚のように手になじんだ手袋になる。

その時は
そのプロに任せて選んでもらうプロセス自体がかっこいいと思って聞いていたが、
月日が流れ、そんな話はすっかり忘れ、
そんなことを経験することもなく今日に至った。
 
しかし、今回のイタリア旅行の観光最終日、
午前中はヴァチカン市国に行き、午後はローマ市内に戻って
ミーハーにも真実の口に手を突っ込んで記念写真を撮り、
工事中のトレビの泉でコインを投げてローマへの再訪を願い、
脇のジェラード屋さんでジェラードを買って舐め、
最後にスペイン広場にいくという
『ローマの休日』のオードリーさながらの予定を強行にこなす中で、
ハタと思い出がよみがえってきた。
(さすがに髪を切る時間まではなかったが・・・)
 
私達メンバーが
トレビの泉から渋谷109通り並みの人混みをかき分け、
スペイン広場に向かう途中、
ふいに左目の端にカラフルな色が飛び込んできた。
 
ひょいと左を向くと小さな手袋の専門店である。
ショーウインドウと店の棚に色とりどりの革手袋がぎっしり並んでいる。
「ちょっと見て見て」と右にいた友人をつつくと
「わぁ、きれいな色」とかなりの食いつき具合。
 
友人はすでに真っ赤な皮の手袋を持っていて、
次は「プラダを着た悪魔」で見たような鮮やかなグリーン、
もしくは黄色い皮手袋が欲しいと具体的に思っているほどの皮手袋好きなのである。
 
私はそこまでのこだわりを手袋に持っているわけではないが、
何十色と揃うその美しいカラーバリエーションはちょっと見逃せない感じだ。
 
一団が人でごったがえすスペイン広場に着いてすぐ、添乗員さんに尋ねた。
「ここで戻って手袋屋さんに行く時間ありますか?」
「たぶん、ガイドさんが後で写真タイムを少しは考えていると思います」という答え。
 
私達がスペイン広場の解説を聞き終わるや否や、20分の写真タイムと聞いて
今来た道をひっ返したのはいうまでもない。
 
道中、2軒あった手袋屋さんの1軒目にたどり着いたが、
ショーウィンドウにあいにく彼女が思うようなグリーンの手袋がない。
 
「最初に見たお店で、確かきれいなグリーンを見た気がするの」
「じゃあ、どうする?行く?時間あるかな?」と私は時計を見ながら言いつつ、
すでに彼女の手を取り、最初のお店に向かって走り出していた。
 
息せき切って走り込んだその店先には、彼女が目に止めたグリーンがあり、
即座に友人は「これください」と叫んでいた。
 
いかにもという感じのイタリアン・マダム風店員が「オーケー」と目で合図を送り、
彼女の手のサイズを一瞥で判断して、棚からひとつの手袋を取った。
 
手袋の中に白いシッカロールのような粉を少し振り入れ、
彼女の手にギシギシはめた。
ドンピシャなサイズだったようで、彼女の目が輝いている。
 
彼女が手袋をはめてもらっている間に、自分は何色にしようか考えた。
今回の旅のテーマカラー、ディープローズにするかと悩んだが、
結局、まずは黒いコートに映えそうなコバルトブルーにすることにした。
 
店員さんは同じく私の小さな手を一瞥し、
「ラスト・ワン」と言って、たぶん一番小さいコバルトブルーの手袋を手に取った。
 
昔の恋人が言ってたお盆の上に座布団を載せたような肘置き台を指し
肘をつくよう促された。
聞いてたとおり、私は右肘をついて指先を天井に伸ばした。
 
最初は相当きつい感じだったが、
「大丈夫、伸びるから」と、プロのいうことを信じなさいと言わんばかりに
マダムは私の小さな手に
お構いなく更に小さなコバルトブルーの手袋を指1本ずつはめていった。。
 
こうして私達はそれぞれ1番欲しかった色の皮手袋を手に入れることが出来た。
 
お値段1対39ユーロ。
日本円にして5400円。
友人曰く、日本で買ったら間違いなく30000円以上はするという。
 
そのことも驚いたし、嬉しかったが、
何より、最後にもらった20分で、猛ダッシュで来た道を戻り、
昔聞いたとおりに肘置き台に肘を載せ、イタリアで手袋を買うという体験が出来た。
これこそ、プライスレスな思い出だ。
 
後から
「もう5分、時間があったら、あなたは黄色、私はディープローズを買えてたわね」と
悔しさがこみ上げてきた。
 
でも、工事中のトレビの泉で、ふたりとも願いを込めてコインを投げたから、
きっとまた、ローマに戻ってこられるだろう。
黄色とディープローズの手袋はその時のお楽しみにとっておくのも悪くない。
 
こうして、数々の楽しい思い出と共に
5月29日、私達は帰路についたのであった。

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