2015年5月11日月曜日

茶カブキのお稽古

 

 
 
 
お茶のお稽古で『七事式』の内のひとつ『茶カブキ』をやっていただいた。
 
『茶カブキ』というのは、お点前がまず2種類の濃茶を点て、
それをお客さんに飲んでもらい味や香りを覚えてもらってから、
本茶といって、3服続けてお濃茶を点て、
その3服の何番目が最初に飲んだものと同じか当てる茶道のゲームである。
 
資格ものと違って、何かのお免状をいただいたから教えてもらえるというような
お点前とは別のものなので、
どんな先生のところでも教えてくださるわけではない。
 
私も以前習っていた先生のところで数回経験したが、
今回の先生のところではしたことがなかったので、
週末にお電話をいただいて、月曜は茶カブキをしようと思ってとお聞きしたときは
とても嬉しかった。
 
そんなわけで、お茶席を盛り上げようと、今日は勇んでキモノを着ていった。
 
だいぶ季節はすすんで初夏の風情だったので、
白っぽい縞模様のキモノに傘の絵柄の名古屋帯という組み合わせにした。
 
久しぶりに髪を後ろにキュッとまとめると、気持ちが引き締まる。
しかし、ボリュームアップした体に幾重にも巻かれた帯や紐類は
なかなかに苦しく、写真に写った我が身の太さはめまいがするほどだ。
 
さて、肝心の茶カブキだが、
私はお点前を命じられたので、
事前に5つの小さな茶入れにお茶をはくところから始まった。
 
5つの内の2つには『上林(かんばやし)』と『竹田』とある。
そこにいつもの『都の昔』ともうひとつ初めてのお茶を入れた。
 
次に茶入れのふたの裏に書いている『上林』『竹田』『客』の名にしたがって
先程入れたお茶と同じものが同じ名前になるよう入れる。
『上林』と『竹田』はふたつずつ、
『客』の茶入れはひとつしかないことになる。
 
長四角い角盆に乗った名前を伏せた3つの茶入れはシャッフルし、
お点前の私でさえ、どの順番に点てるのかわからなくしてしまう。
 
そして、先に『上林』、次に『竹田』と点て、
続けて3服点て、
お客は1服2服3服と
それぞれが『上林』なのか『竹田』なのか『客』なのか紙にしたためる。
 
お点前は当然1服も飲むことは出来ないのだが、
点てている時のお茶の香りや色・ツヤなどで
目隠しのお茶が『上林』なのか『竹田』なのか
はたまた、初めて点てる『客』なのか大体分かる。
 
お客の皆は次々点てられる5服ものお茶を楽しみながらも首をかしげ、
味の記憶を呼び起こしながら、紙に茶名をしたためている。
 
書き終えたらお客は執事という役の人のところにそれを提出し、
お点前も角盆ごと茶入れを執事に持っていって照合する。
 
3服すべて当てた人にはその書状がプレゼントされる。
 
以前、先生が宗相のお宅で行われた茶カブキで
全種類当てた時にもらったという書状が、
なんと表具屋さんで表装してもらってお軸として飾ってあったのには驚いた。
 
こうなるとお遊びの粋は越えているが、
昔のお遊びは風流で贅沢だったと垣間見る思いがした。
 
こうして、本日のお茶のお稽古はいつにもまして、非現実の世界に遊ぶことが出来、
浮き世のゴタゴタからトリップして楽しかったが、
家に戻れば家人がおり夕餉の仕度が待ったなし、
日常に飲み込まれていくしかない我が身の辛さなのであった。
嗚呼。
 
 


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