2014年11月19日水曜日

諸行無常の秋

高倉健さんが亡くなった。
 
義理と人情を秤にかけりゃ、義理が重たい男の世界。
 
今どきはものごとを決める時に義理と人情を秤にかけるなんてことはせず、
欲得勘定で動く人がほとんどのような気がするが、
高倉健という人は
義理を大切にするだけでなく、人情にも厚い人だったらしい。
 
寡黙で頑固でストイックでけれど心根は優しい。
そんな日本男児のあこがれが、またひとつ消えてしまった。
 
今朝はどこのテレビも新聞も
「ひとつの時代が終わった」とさかんに特集番組を組んで、その死を悼んでいた。
 
諸行無常とはお釈迦様の言葉で
「ものごとには永遠に続くものなどひとつもない」という意味だが
今日の健さんのニュースでも同じことを感じた。
 
さて、その諸行無常は私の身の回りでも起こっている。
 
私が参加している『紫陽花展』という女性9名のグループ展は
今年の6月に15回の記念展を行った。
 
最初はギャラリーヨコハマという画廊のオーナーがかき集めた
女流画家の寄せ集めのグループ展だったが、
それがなかなかいい感じにまとまって、
もめ事などもなく10年経ったところで、当初の画廊が閉鎖になった。
 
ここでこのグループもこれまでかと思いきや、
岩崎ミュージアムという別の画廊が企画展として引き継いでくださり、
15回展を迎えるにいたったというわけである。
 
その記念展に際し、私が
「20回展を目指して、鋭意努力するので応援よろしく」みたいなことを
挨拶文に書いて、機関紙に載せてもらったのだが、
こともあろうか
「画廊の形態が少し変わるので、企画展は今年で・・・」との申し出があり、
あえなくここでの展覧会開催が終了してしまった。
 
と同時にメンバー9名の内、2名が脱退。
他に3名ほどが「じゃあ、私も辞めようかしら」みたいなことを言い出した。
 
「はぁ?何なんだ、てめえら!」
と語気が荒くなりそうなのをグッとこらえ、
とりあえず、関内駅前の別の画廊を来年6月に押さえ、
年末の忘年会で、冷静に今後の事を話し合うことになった。
 
そして、忘年会の日にちが迫ってきた昨日、
その中の辞めない表明をしているひとりから連絡が入った。
「忘年会はどこでやるんですか?」
 
「もちろんいつもの荔香尊酒家よ~」と返すと
「荔香尊酒家、閉店したみたいですよ」と予想もしない情報が・・・。
 
ここの中国人社長さんとはすっかり仲良しになり、
毎年4月始めにミーティング、6月終わりに打ちあげ、12月に忘年会と
年3回、私たちだけの特別メニューでコース料理を楽しんできた。
 
今年の6月24日も同様、15回展の打ちあげをしたのだが
そこで2名の脱退が正式決定し、更には3名がぐずぐず言い出した。
あわや紫陽花展もこれまでかと、諸行無常を実感したのは正にこの時だったが
まさかその1週間後にレストラン自体が閉店していたとは・・・。
 
昨日、閉店を知らせてくれた友人にこうメールを送った。
「岩崎での展覧会も終わり、常用のレストランも同時に閉店。
ああ~、世の中、諸行無常ですね」と。
 
すると友人からこう返事が返ってきた。
「ならば、ガツっと新しいページをめくっちゃいましょう!!」
 
彼女のしとやかなイメージをぶちこわすような「ガツっ」という表現に
「ものみなすべて、諸行無常~」などと
ウダウダ・めそめそしていた私もパワーをもらった気がした。
 
そうか、ガツっと新しいページかぁ。
 
還暦を迎え、リボーンとかいっておきながら
ひとつひとつなくなっていくものや変わっていくものに対し、
ウエットに後ろ髪引かれていることに気づかせ、
「ホラホラ、前を向こうよ」と背中を押してくれた気がする。
 
男も義理と人情を秤にかけた時代は終わり、
女もガツっと新しい道をゆく。

いいですねェ。
 
ということで、これからもよろしく!

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