2014年7月19日土曜日

大量の湯呑み

 
 
 
2ヶ月間、創りためたものに今日は工房で釉薬をかけた。
釉薬をかけられる日は奇数月の後半と決まっているから、今日は人が多い。
 
工房には10人ほどの人が、それぞれ自分の器に釉薬をかける下準備をしたり
欲しい釉薬をグラインダーで攪拌したりして、黙々と作業している。
 
私も工房の机に12個の湯呑みと2つ残りの粘土で創った器がおいてあったので
「そうか、今日はこんなに釉薬をかけるんだ」と他人事のように驚きながら
黙って作業に取りかかった。
 
すでに同じデザインの大ぶりの湯呑みは8個、焼き上がっていて手元にある。
しかし、その先発の8個が思っていたより焼きで縮んだため、
今ひとつ焼き上がりに満足していない。
今日の12個の焼き上がり次第では満足のいかない中途半端な出来のものが
20個もできてしまうことになる。
 
それだけは勘弁して欲しいと心の中で自分に話しかけながら
予定していた黄瀬戸と織部と失透という3色の釉薬を攪拌し、釉がけに備えた。
 
てびねりなので全く同じとは言えないまでも同じ重さの粘土で創った
同じ土、同じデザイン、同じ釉薬の器達。
微妙に大きさも形も釉薬のかかり方も違うので、
狙いとしては、シリーズものであり、かつ、一点ものである。
 
陶芸も2年半の月日をかけ、自分のスタイルというものが徐々にできてきて
また、そこそこ狙った形のものが創れるようになってきている。
 
てびねりの歪みもまた、味があるとは私は思っていないので
歪みではなく、そういう温か味のある狙った形にしたいと考えているのである。
 
この大ぶりの湯呑み。
一応、湯呑みということになっているが、小鉢としても使えそうな気がしている。
白和えとか、わけぎのぬたとか、うざくなんかよさそうだ。
 
器にかけた黄瀬戸の渋い黄色、織部の渋い緑、失透の白、
その重なりあう3色と和風の和え物はきっとよく似合う。
 
帰り道、生業はウェブデザイナーをしているという陶芸教室で一緒の女性と話した。
「ねえ、なんでおじさん達って、あんなつまんないものしか創らないんだろう」
「自分が料理をしないから、
この料理をのせるために、こんな器っていう発想がないからじゃないですか?」
「確かに。私なんて完全に自分の料理をのせるための器作りですもの」と。
 
料理と器。
まあ、それを語れるほどの料理人でもないし、陶芸の腕もまだまだだけど、
気持ちだけは魯山人。
 
イメージを大切にして更なる高みを目指すのは悪くない心がけといえよう。
 

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