2014年7月5日土曜日

土と向き合い、自分を見つめる

 
 
 
外は今日もしとしと冷たい雨が1日中降っていた。
 
6月後半はグループ展があったので、毎日のように会場に通い
お当番を務めたり、会場で友人を迎えたりしている内に
あっという間に過ぎていった。
 
気づけば、今日は早7月5日。
今年も半分が終わり、後半に突入してしまった。
 
1年が短く感じられるようになって随分経つが
今年も呆気なく半分終わってしまい、いささか焦っている。
 
個人的には、別に来年の個展に作品の数が揃いそうにもないとか、
今日明日に間に合わせなければいけない提出物があるとか、
そういうことではないのだが・・・。
 
こんな気持ちを落ちつかせるのに
雨の日の作陶作業はもってこいである。
 
工房には第1と第3に登録している土曜日メンバーが全員揃っていた。
奇数月の2回目が釉薬をかける日なので
次回のその日に向け、だれもが黙々と手を動かしている。
 
自由作陶がこの工房のスタイルなので、
今月の課題は『れんげ』だが、れんげを作っているのは数人だけ。
あとはそれぞれ思いのままにばらばらのものを作っている。
 
一番古いSさんは180㎝ぐらいの背で100㌔はあろうかという大きな体を丸めて
なんと骨壺を作っている。
ご自分のものというより、知り合いの80代の方からリクエストされたとか。
 
最初に骨壺と聞いたときは驚いたが
自分の骨壺も自分の作品だったらステキだなと今は思っている。
 
隣で一心不乱にれんげに取り組んでいたOさんは
正にリタイア後は陶芸でも・・・というよくありがちな日本男児なので
不器用そうな手つきで、バランスをとるのが難しいれんげに苦戦している。
 
一方、この工房に入門して半年のNさんは30代の女性で新婚さん。
大学時代は美大の工芸科だったとかで
陶芸はプロ裸足。
不器用なおじさん達が四苦八苦しているのを横目に
難なく電動ろくろでパスタ皿をひいている。
 
先生も他の人も皆、一様に黙ったまま粘土と格闘していて
今日はいつもおしゃべりなおじさんもなぜか寡黙だ。
 
今日の私は前回作った揃いの湯呑み4個の高台削りから始まり
新作のクッキー皿とサラダボールを作るのに集中していた。
 
人の数はそれなりにいるのに話し声もなく、工房にクラシック音楽が流れている。
外の雨は音もなく降り続いていて
7月とも思えない冷たい風が工房を吹き抜け、長袖でないと寒い。
 
私は古信楽という土を練りながら
揃いのおおぶりの湯呑みに合わせたクッキー皿をどんな形にするかイメージする。
土が答えを教えてくれるまで、静かに菊練りを続ける。
 
今日は湿度が高く土がいつもより軟らかい。
 
手のひらに冷たい土の感触を感じながら
今年に入ってからの半年を振り返る。
そして、9月の沖縄のこと、10月のニューヨークのことなども考える。
で、ふと現実に戻り、今日の夕飯のことを考えた。
 
今、作っている湯呑みとクッキー皿は来年の個展のことを思っての作陶だけれど
こうして人は目標になる個人的ビッグイベントに向け
1日1日確実に小さな何かを積み上げつつ前に進むしかない。
 
毎日、何も考えずに過ぎてしまうのはもったいないが
今この時を大切に
昨日を今日に、今日を明日に
バトンを渡しながら生きていくしかない。
 
そんなことをつらつら考えながら
今日は新しくクッキー皿とレモン型のサラダボールができた。
 
これが無事、素焼きを経て、釉薬がかかり本焼きに進み、形になった時、
作陶しながら考えたこともいい思い出になるだろう。
 
 


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